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【第13回】
私の「建築のもと」  >>過去3ヶ月分の連載

自然と人との関わり  著:岩川卓也

1枚目の写真はイタリア・アンコナの写真です。アンコナはマルケ州アンコナ県の県都で、アドリア海に面した港町です。港からは対岸のクロアチアやギリシャへの客船も出港しています。アンコナ港から丘を上り中心街の大通りを南東に抜けるとそこは丘の終点で断崖になっていて、前面には広大なアドリア海が広がっていました。


崖を下りてみると、色とりどりの木製の観音扉が海岸線に沿って数え切れないくらい並んでいました。その扉の中はそのひとつひとつがトンネル状の穴になっていて、舟が納まり、扉を開きそのまま前進すると入水できるような、非常にシンプルでダイレクトな構造になっていました。


2枚目はブータン・パロのタクツァン僧院の写真です。そこはチベット密教最大の聖地といわれ、断崖絶壁のすごい場所(標高3100m)にありました。遠くから眺めていた時もすごい場所だなあと思ってはいましたが、近くで見た時の方がそのリアルな地形を目の当たりにし、よりそう実感したのを覚えています。

アンコナで観音扉の列を見たときは「何だ?何だ?」という感じで、街を散歩しているときに新しいものを発見した時のような身近な感覚でしたが、タクツァン僧院では(チベット密教のことを少し頭から外せば)、「えーっ!おーっ!何でここに!」という感じで圧倒され、その印象は全く違ったものでした。

両者に共通している点は自然と人が向き合っていること、そして自然との関わりの上に建築が成り立っているということだと思います。そしてこのことは自然と人との関わりに建築の出発点があることを教えてくれているように感じました。

岩川卓也

http://www.iwakawa.net/

【第16回】
ご存知ですか?この家の設備  >>過去3ヶ月分の連載

高齢者のリフォーム費用 著:小林高志

こんにちは建築家KOBAポンです。
今回は最近行った高齢者リフォームについて書こうと思います。
その家は、年齢80歳(女性)の高齢者がお住まいになるリフォームでした。
築40年ほども経っているので、家は古くなっており使いにくかったのです。
キッチンセットは昔のままだし、浴室はタイルでできた浴室…、家全体が古びていて、どことなく暗く寂しいものでした。
しかも…冬はとっても寒い。

私自身、はじめはリフォーム費用に大きな金額を掛けるのはもったいない…と考えていました。理由は(ちょっと失礼な話しになってしまうのですが…)ご高齢だし、残りの人生も少ないので、お金を使ってもらうことに気が引けるというか…もったいないという気持ちが働いたのです。

ところが、打ち合わせをしている間に、私の気持ちは変わっていきました。
キッチンセットは全部を取り替えよう。コンロはIHコンロにして…食器洗い機も導入しよう。浴室も全面的にやり替えよう。新しいユニットバスを入れよう。
そして、お客様とユニットバスを選びにショールームに出かけたら、ちょうどキャンペーン中で、浴室テレビが無料でもらえるというチャンスにも恵まれて、浴室にはテレビも導入することになりました。キッチンには床暖房も入れました。

合計の工事費用は約400万円。
ご高齢の方には大きな金額だと思いましたが(これが若い世帯の場合はそう思わないのですが)、とにかく工事は完成。

キッチンセットは派手な…ピンク色でぴっかぴか。ユニットバスもぴっかぴかで暖かい。しかも浴室にはテレビも映るという機能性。
食器洗い機の使い方も分かり、IHコンロにも慣れたそうです。今年の冬は新しい床暖房も稼動し快適な暮らし…。

「リフォームをしてよかった」
「お金はあの世に持って行けない」
「400万円を使って快適な生活ができるようになった」
お客様はそうおっしゃられていました。

高齢者のリフォーム。
妙な話しですが私がはじめに「もったいない」と考えていたことは間違っていたのだな、と今は考えている次第なのです。「お金はあの世に持っていけない」と言われたことが妙に印象的でした。

(有)グループアプローチ建築設計事務所 小林高志

http://www2u.biglobe.ne.jp/~g-a/

【第16回】
健康素材の現場から  >>過去3ヶ月分の連載

安全は全てに優先する(シックハウス症候群になってしまうと生活が根底から覆る) 著:浅野千尋

建香堂の家の上棟時写真:土台はヒバ、柱はヒノキとスギ、
梁はマツで組む。内装だけでなく、構造材も全て国産無垢材
を使用している。
家づくりにおいて「安全」は全てに優先します。
ともすればデザインや間取りに目を奪われてしまい「安全」のことをおろそかにしてしまいそうですが、家は一番安全なシェルターであるべきですから、家づくりにおいて「安全」は全てに優先するのです。
では「安全」にはどういうものが考えられるでしょうか。
私は4つのカテゴリーに分けて考えるとわかりやすいと思っています。それは「耐震&防災」「防犯」「バリアフリー」「シックハウス対応」です。
この中で「シックハウス対応」が一番わかりにくく対処しにくいのかもしれません。それは耐震や防犯等に比べて、物理的な方法で防ぐことがなかなか出来ないからなのだと思います。だからこそ「シックハウス対応」をしていくには、施主自身のリスクに対する自覚と、それに対応する専門家の知識が必要ですね。

施主自身のリスクに対する自覚ということで考えなければならないのは、今の生活を見直すということです。芳香剤や消臭剤や洗剤などはもちろんのこと、生活雑貨や食品などに含まれる身の回りにあるあらゆる化学物質に対して、もっと敏感になって考えて欲しいと私は思っています。
便利だから、手っ取り早いからということで、化学物質に取り囲まれた生活を続けていると、化学物質漬けの体質が出来上がり、さらに新築やリフォームをした時に使った建材に含まれる化学物質の暴露をしてしまうことで、シックハウス症候群になってしまうのです。そういった意味で、施主自身でリスクに対する自覚が必要だと思います。

またさらに重要なのは施主のリスクに対する専門家の知識です。
残念ながら、いまだに「F☆☆☆☆だから安全です」とか「F☆☆☆☆マークが付いているから変なものは使っていない」と言う建築関係者が多くいます。あなたがもしそう言われたら、その建築関係者ではシックハウス対応は出来ません。
シックハウス対応とは、施主の化学物質に対するリスクマネージメントですから、しっかりとしたヒアリングと、使える建材のチェックが必要になります。その時にはプロとしての建材の知識が必要ですね。それはもはや建築関係者に必須の知識と言えるでしょう。

シックハウス症候群になってしまうと生活が根底から覆ることになります。通常の生活が出来ない状態になるのです。
シックハウス症候群がさらに進み、化学物質過敏症になってしまった人たちは、そうなってしまうことに対する警鐘を鳴らしている方々と私は思えてなりません。
現在では多くのかたがアレルギー症状を持っています。そういう方々はリスクが高い体質であると自覚し、シックハウス対応が出来る設計者に相談しながら、是非安全な家づくりをするようにしてください。

関東圏を主に展開している「パルシステム生活協同組合連合会」では安全な食品の提供だけでなく、組合員に向けて「建香堂の家」という新築を用意しています。これは安全安心な家を設計監理出来る設計者達のグループによる新築です。
業界内部からの一方的な情報や、メーカー側の情報だけにとらわれるのではなく、常に施主へのヒアリングや現場からのフィードバックをしながら確かめた情報を設計者や施工者で交換し、ほんとうの安全な家づくりをしていこうと私を含め自覚的な設計者達が集まりました。このような集まりが我々だけでなく、各地域で出来ていけばいいなと思っています。

■参考ホームページ
家づくりのヒント集(シックハウスリスク チェックリスト)
http://www.pal-system.co.jp/sumai/tips-tools/index.html
http://www.pal-system.co.jp/sumai/tips-tools/tips-tools.html

(有)コンパス 浅野千尋
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